ズッキーニはカボチャの仲間のペポ種の一つで、節間が短縮されて伸びないので、つるなしカボチャとも呼ばれています。サマースカッシュという別名もあります。
50年ほど前に導入された当初は、食習慣になじまず利用が伸びませんでしたが、近年、洋風料理に向いていることが知られるようになり、消費が伸び始め、図のように果色・果形の異なる新品種も種々出回るようになり、人気が急上昇しました。
ズッキーニの性質をよく知り、上手に育て、うまく利用するポイントの10カ条は次の通りです。
(1)濃緑の長形、キュウリを一回り大きくしたものが代表的な品種ですが、同形の黄色、丸形の緑、黄色など多彩になりました。早めに種子を手配し、苗を育てましょう。
(2)苗作りは3号ポリ鉢に2粒まき、本葉が開いたころ1本立ちにし、本葉3~4枚のころ畑に植え出します。
(3)茎は短縮され、葉が大きく株元付近が込み合った状態に育つので、多湿を嫌います。畑は排水の良い場所を選び、畝は高めに作り、ポリマルチをして育てましょう。
(4)葉が大きく、葉柄は中空で、風に振り回されたり、つるが反転すると折損し、傷口から病原菌が入りやすいので、図のように短い支柱を株元に交差させて立て、葉柄をひもで結び付け固定します。
(5)育ちが盛んになってきたら、株元付近の葉を1~2枚、果実を2個ほど摘除し、込み合いを防ぎます。
(6)雌花は短縮した茎の各節に付き、開花後の肥大は早いので、長形種は長さ20cmほどに、卵形種は直径6~7cmぐらいになったら早めに収穫します。開花後4~5日で収穫できますのでお見逃しなく。
(7)開花時、ハウス栽培では早い時期に雄花を探して人工受粉することが必要ですが、露地栽培では訪花昆虫が活動するので、放置しておいてもよく実止まりします。
(8)多湿状態の天候が続くときは、果実に花びらを付けておくと、しおれた後で果実が腐りやすくなるので、花びらは早めに取り除きます。
(9)代表的な食べ方は、トマトやナスなどと一緒に煮込むラタトゥイユ、油で一度炒めてから煮込むとカロテンの吸収も良くなります。
(10)簡単なのは輪切りにしてバターで炒めてチーズの付け合わせに。ゆでて塩とレモン汁を振ってサラダに。縦に薄く切って帯状にし、ゆでて軟らかくして、サーモンやトマトなど彩りが良い材料をまきオードブルに。花の中にチーズや肉を詰めて揚げたり蒸したりし、イタリア料理風にと用途は大変広がります。
板木技術士事務所●板木利隆
|