2017.06.25

ニンジン

ベランダでできるキッチンガーデン 

 ニンジン(セリ科ニンジン属) 土壌医●藤巻久志

 

 団塊の世代が小学校の図工の時間にクレヨンで描いたニンジンは、ゴボウのように長い物でした。大長ニンジンの種はフワフワの「毛付き」で売られていました。昭和40年代になると収穫が楽な短根ニンジンが普及し、種も「毛除」になり、まきやすいコーティング(ペレット)種子も開発されました。
 大長ニンジンは子どもが嫌う野菜の筆頭でした。現在の短根ニンジンは、癖がなく甘味が強い品種が多くなりました。ニンジンジュースが好きな子どもも増えました。
ニンジンの種は独特の香りがし、毛除した種はわら草履に似ています。2~3mmの小さな種が土と水と太陽によって、おいしいニンジンになるから不思議です。


 そんなワンダーランドをベランダで展開しましょう。短根ニンジンなら深さ20cm程度のプランターでも栽培できます。市販の培養土を入れ、日当たりの良い所で栽培してください。日陰では茎葉ばかりが茂って、根が太りません。
 ニンジンなどの根菜類は移植を嫌うのでじかまきします。5mm程度のまき溝を付けて筋まきします。好光性種子なので覆土はごく薄くします。種が土から水分を吸いやすくするために、表土を軽く手で押します。発芽するまでは土が乾かないように新聞紙を掛けておきます。
 本葉1~2枚になったら葉の密生しているところを順次間引きし、本葉5~6枚のときに株間10~15cmにします。間引きした物はサラダなどにして食べられます。根部の肩が日に当たると緑色に変色してしまうので、間引き後は根が露出しないように土寄せ、または増し土をします。追肥は1000倍の液肥を7~10日置きに施します。
 種まき後3~4カ月で収穫できます。取れ立てのニンジンは葉も天ぷらなどにして食べられます。店頭では売られていないニンジンの葉を楽しめるのは、キッチンガーデンの醍醐味(だいごみ)です。