2021.07.26

カボチャ

カボチャ(ウリ科カボチャ属)

土壌医●藤巻久志

 終戦後のヒット曲といえば『リンゴの唄』で、作詞はサトウハチローです。彼は戦争中に古賀政男の作曲で『カボチャの歌』も書いています。リンゴはみんなに愛され続けていますが、カボチャを代用食とした戦中派は「見るのも嫌だ」と今でも言っています。
 当時のカボチャは粘質で糖度の低い日本カボチャ(東洋種)だったと思われます。中央アメリカ原産で、室町時代にポルトガル人によって九州に渡来し、日本各地に広まりました。カンボジアの野菜と伝えられ、それでカボチャになったといわれています。唐茄子(とうなす)や南京(なんきん)ともいいます。
 日本カボチャの栽培は少なくなりました。店頭に並んでいるのはほとんど西洋カボチャです。南アメリカ原産で江戸時代末期に伝えられ、その後品種改良された物です。栗カボチャともいい、粉質でホクホクしています。関東は粉質、関西は粘質を好む傾向がありましたが、今は全国的に粉質が好まれています。日本カボチャは固定種、西洋カボチャは交配種(F1)が多いです。
 一般に野菜は新鮮なほど価値がありますが、収穫直後のカボチャは糖度が9~12度でおいしくありません。約1カ月経過するとデンプンが糖に変わり、糖度が16~17度になります。産地では風通しの良い日陰でゆっくり乾かして日持ちを良くする「風乾」という作業を行ってから出荷します。
 カボチャはビタミンAやβ-カロテンが豊富です。冬至には風邪や中風(脳卒中)を防ぐために、保存が利くカボチャが食べられてきました。煮物、天ぷら、みそ汁の具などいろいろな料理に利用されています。ゆで卵と炒めたさいころ状の豚肉を入れたカボチャサラダがとても美味です。卵と肉は戦中・戦後は入手困難でした。カボチャを食べると、平和のありがたさをつくづく感じます。