2022.07.25

シロウリ

シロウリ(ウリ科キュウリ属)

土壌医●藤巻久志

 シロウリは熟すと果皮が白っぽくなることから「白瓜(うり)」と書きます。原産地はインドから東南アジアと考えられ、越の国(中国南部)で栽培されたので「越瓜」とも書きます。日本へは中国から伝わり、平安時代には栽培され、その後全国各地に地方品種が誕生しました。
 「日本の植物学の父」といわれる牧野富太郎は、日本のシロウリをアサウリ、アオウリ、シマウリの3品種群に分類しました。牧野富太郎は小学校を中退して独学で植物の知識を身に付け、94年の生涯で40万以上の植物標本を収集し、1500を超す植物を命名しました。誕生日の4月24日は「植物学の日」に制定されています。
 今でもシロウリの地方品種は残っています。最も広く栽培されているのはアサウリ群で、東京大越瓜(東京)や桂瓜(京都)などがあり、主に奈良漬に用いられています。肉質がしっかりとしているアオウリ群はカリモリ(愛知)、縦じまがあるシマウリ群は玉造黒門越瓜(大阪)が有名です。どれも固定種なので自家採種が可能です。
 シロウリはウリ科キュウリ属で、メロンやマクワウリなども仲間です。ハグラウリはシロウリとマクワウリとの交雑の後代で、歯のぐらついた人でも食べられるのでこの名が付きました。青皮品種と白皮品種があり、鉄砲漬には青皮品種が使われています。
 千葉県の成田山新勝寺の参道には漬物屋が何軒も並んでいます。名物は鉄砲漬で、ハグラウリの種子をくり抜き、そこにシソで巻いた青トウガラシを入れ、しょうゆだれに漬け込んだものです。ハグラウリを鉄砲の筒、青トウガラシを弾丸に見立てています。
 シロウリはほとんどが本漬けに加工されますが、一般家庭では浅漬けが簡単で、塩昆布を入れるとよりおいしくなります。