ワケギ(ヒガンバナ科ネギ属)
土壌医●藤巻久志
ワケギはネギとタマネギの交雑種です。中国では古くから栽培され、日本には遣隋使・遣唐使の時代に渡来したと考えられています。漢字では「分葱」と書くように、よく分けつ(枝分かれ)します。「冬葱(ふゆぎ)」「大官葱(だいかんねぎ)」「慈葱(じそう)」など多くの異名があります。
これまでネギ類はユリ科に属してきましたが、DNAで決める新分類ではヒガンバナ科になりました。ネギやタマネギのネギ坊主は、ユリよりもヒガンバナに似ています。しかし、ワケギのほとんどの品種はネギ坊主を付けないので、種子ではなく球根で増やします。
種子や球根には、採種後や掘り上げ後に一定期間休眠に入るものがあります。低温や高温、乾燥などの不適な環境では発芽しないで、生育に適した時期が来るのを待って発芽するためです。球根の多くは休眠した状態で流通します。秋植えのチューリップは晩夏から秋、春植えのグラジオラスは冬から早春の休眠期に球根が販売されます。ワケギは晩春に休眠に入った球根が7、8月にホームセンターなどに並び、休眠から覚める8、9月に植え付けます。
球根は種子よりも、栽培や増殖が簡単です。ワケギはプランターでも栽培でき、10月から翌年の3月まで収穫可能です。抜き取り収穫と刈り取り収穫があります。抜き取り収穫は、肥大した鱗茎(りんけい)をエシャロットのように食べることができます。刈り取り収穫は、葉の下の方を2、3cm残して刈り取ると、また新しい葉が伸びてきて年に3、4回収穫ができます。一度球根を入手すれば、翌年からは20~30個に分球したものを種球にするので、種苗代がかからずとてもお得です。
ネギのような刺激性の臭いはなく、酢みそあえや卵とじなどにして、穏やかな香りと風味を楽しめます。青ネギよりもベータカロテンやミネラルを多く含みます。生活習慣病予防や疲労回復、食欲増進などの効果が期待できます。



